仏教系の高校に通う男子高校生、純君のひと夏の物語
純君は、とてつもなく優しい両親に育てられ、とっても良い子なんです。
みうらじゅんさん原作ですが、
純君は特に仏像好きではなく、普通の気の優しいバンド少年。
バンドをやっているだけに(?)親や学校や社会に反抗してみたいけど、
な~んにも不満はない・・・。
純君は、夏休み友だちと旅したユースホステルでヒゲゴジラと出会います。
社会の枠組みから落っこちたような長髪&ヒゲの暑苦しい音楽青年。
高校生をベロベロに酔わせ、物分りの良い兄貴のように説教した翌日、
高~い自主制作のレコードを売りつけようとします。
友だち二人は、そんなヒゲゴジラを怪しい男だと一蹴しますが、
純君はヒゲゴジラの音楽と人間性に感銘を受け、
「ヒゲゴジラになら騙されてもエエなぁ!」と、笑顔でいっぱい。
「たとひ法然聖人にすかされまゐらせて、
 念仏して地獄におちたりとも、
 さらに後悔すべからず候ふ。」


そう、親鸞さんが師匠の法然さんについて語った言葉と同じなんです。
「騙されてもイイ!」そんな出会いが感受性いっぱいの10代にある幸せ。
そして、家族をはじめとする温かい人間関係のお陰で「普通の道」を踏み外すことができない幸せ。ナームー。
ヒゲゴジラは「銀杏BOYZ」の峯田君、
家庭教師のヒッピー役には「くるり」の岸田君が演じています。
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二人をあまり知らない私は、
映画を観る前は、「どっちがどっちの役をやっても同じじゃないの?」
なんて思ってましたが、それぞれにバッチリはまってました。
音楽をやっていて、悪いことも、ちょっとは知ってそう。
でも、大学を卒業したらサラリーマンになりそうなヒッピー岸田。
普通の人には戻れそうにない不器用なヒゲゴジラ峯田。
マネできるかどうかは置いといて、
「騙されてもイイ!」なんて思わせるのはやっぱりヒゲゴジラなんですよ。
船で帰っていく純君を見送るヒゲゴジラ、
勢いあまって海に飛び込んじゃうシーンには、涙がポロリ。