近所にツタヤがありません。
引越して半年以上になりますが、
一度だけ近所の「じゃがいも」というお店でレンタルしました。
想像通りの品揃え。数が少ないのに目当ての作品が見つけられない。
一念発起して、ツタヤディスカスに登録しました。
そして、記念すべき第一回レンタルは『メルシィ人生!』。
『奇人たちの晩餐会』のフランシス・ヴェベール監督作品です。
主人公の名前は『奇人』と同じピニョンさん。
『奇人』のピニョンさんは行動も容姿も奇抜でしたが、
今回のピニョンさんは、いたって普通なダニエル・オートゥイユ。
ロバート・デ・ニーロを知的なフランス人にした感じの、あの人です。
ピニョンさんは美しい妻と生意気な高校生の息子に出て行かれ、一人ぐらし。
出て行くにあたっての、原因は特にありません。あえて言うならツマンナイから。
そして、会社も地味すぎて(?)クビ寸前。
自殺しちゃおうかな、ってベランダに立ったとき隣の老人がアイデアをくれます。
ゲイのふりをしなさい。
「クビ?、”ゲイのせいで不当解雇だ!」と無言の圧力をかけるのだ!
老人が送った合成のゲイ写真で会社は大騒ぎ・・・、というお話です。
経理部の同僚の女の子は、「あの目つき・・・私は分かっていた」と言い、
息子は、つまらないヤツだと馬鹿にしていた父親を尊敬する。
マッチョな上司(ドパルデュー)は、
ゲイ嫌いを隠すためピニョンさんに優しく接しようと心がけたのがキッカケで、ピニョンさんに恋に似た感情が芽生える始末。
とにかく地味。気遣いだけがとりえだったピニョンさんでしたが、
騒動のなか、自己主張しはじめ、自分を捨てた元嫁ともスカっと決別。
素敵な彼女もでき、ハッピーエンド。
会社にいったら、まず同じ部署の愛想もクソもない女性二人に
「コーヒーどうですか?」って、たずねるのが日課だった気遣いの鬼、ピニョンさん。
マッチョ上司や冷たい同僚のピンチにその力を発揮。
ひとを気遣う優しい心がゲイ騒動で、
やっと皆に伝わるぐらいパワフルに働いたのですね。
元嫁に「息子にゲイじゃないと言うな。今の時期はゲイでも父親が必要だ!」と告げ、
ネコが居なくなって落胆する隣の老人に「ネコが見つかったよ~」とどこかで仕入れてきた別のネコを差し出す。
自分が気分良くいたい、っていう気持ももちろん否定できませんが、
基本はヒトを喜ばせたり、安心させたいというのがピニョンさん。
その行動が、勝利をおさめたのです。
本当のことって、一番大切?
どんな行動も愛情と誠意があれば、それが真実だ!っていうことですね。
う~ん、おフランス。
「ありえへん!」というシーンも満載ですが愛情と誠意で軽くクリアしています。
見所は、ドパルデューをけし掛け、恋までさせた同僚3人。
会社の騒動を静観しつつ、差別的なドパルデューをおちょくりまくる。
超クールじゃないですか。こんなイカした脇役が出てくる映画って観たことないです。
ご覧あれ。